相続税改正(平成27年)

平成27年、相続税改正がいよいよはじまります!!

最近はメディアでも取り上げられ、聞いたことがある方も多いかと思います。主なポイントを確認しておきましょう。
当ページの内容は、平成26年10月1日時点の法律に基づいており、将来変更される可能性もありますのでご注意ください。

平成27年1月1日施行開始

当該改正は、平成27年1月1日以降に亡くなった場合が対象となります。遺産分割や相続税の申告の日ではありません。




もしかしたらあなたにも相続税が!?

相続税って?

そもそも相続税とは、親族などが亡くなったことにより財産をもらった場合や遺言により財産をもらった場合に発生する税金です。

遺産を相続すれば、相続税の申告を考える事になりますが、実はすべてのケースで申告しなければならないわけではありません。
相続税には、
基礎控除というものがあり、財産が基礎控除額以下であれば相続税はかからず、税務署に申告する必要もありません。


基礎控除額の減額

その基礎控除額が大幅に減額されます。

基礎控除額の減額


例1.相続財産が6,000万円で配偶者がおらず法定相続人が子2人の場合
基礎控除額は、、、

改正前:7,000万円
    5,000万円+1,000万円×2人
改正後:4,200万円
    3,000万円600万円×2人

となり、基礎控除額が
2,800万円減額したことで、改正後では相続税が発生する可能性があります。

この改正で相続税の申告が必要な方が増えるだろうと予想されています。
特に地価が高い都内近郊に土地をお持ちの方は要注意です。うちは関係ないから、、、とのんびり構えていた結果、想定外の相続税を払うなんてことのないようにしましょう。

例2.八王子市内(子安町)に自宅を所有している場合
<前提条件> 

  • 自宅の土地 … 2,000万円(路線価20万円、30坪(100㎡))
  • 金融財産(預金、株式等) … 2,000万円
  • その他の財産(家屋等) … 500万円
  • 配偶者がおらず法定相続人が子2人
    (いずれも別居で小規模宅地の特例適用対象外とします)

相続財産の総額は4,500万円であり、子1人当たりの相続税は

改正前:相続財産の総額が基礎控除額を下回るため相続税なし
    4,500万円<7,000万円

改正後:15万円
    4,500万円>4,200万円
    ①子1人当たりの法定相続分 … 150万円
     (4,500万円-4,200万円)÷2
    ②子1人当たりの相続税 … 15万円
     ①×10%

となり、改正後は相続財産の総額が基礎控除額を上回るため相続税の申告が必要です。




財産が多い場合はさらに増税!!

税率の見直し

前述の基礎控除額の減額に加え、課税財産の法定相続分が2億円を超える部分について税率が引き上げられます。

基礎控除額の減額


例.相続財産が6億円で配偶者がおらず法定相続人が子2人の場合
子1人当たりにかかる相続税額は、、、

改正前:8,900万円
    ①子1人当たりの法定相続分 … 2億6,500万円
     {6億円-(5,000万円+2,000万円)}÷2
    ②子1人当たりの相続税額 … 8,900万円
     ①×40%-1,700万円

改正後:9,855万円
    ①子1人当たりの法定相続分 …2億7,900万円
     {6億円-(3,000万円+1,200万円)}÷2
    ②子1人当たりの相続税額 …9,855万円
     ①×45%-2,700万円

となり、
955万円の増税になります。




住宅等に関する軽減が拡大☆

小規模宅地等の特例とは?

故人の名義で所有していた土地に家族が一緒に住んでいた場合、その宅地は残された家族にとって生活の基盤となっています。税金を納める為にそれらを手放すことになれば一大事です。そんな事態を避ける為に土地の評価において大幅な減額の特例があります。また、事業で使用している土地についても同じような特例があります。

二世帯住宅や老人ホームに入居している場合の適用範囲が緩和

以下の2つについて、小規模宅地等の特例を適用することができませんでしたが、改正後は可能となりました。なお、この改正は平成26年1月1日以降亡くなった方に適用されます。

①二世帯住宅で構造上区分されている場合
1Fと2Fの玄関が別で中で行き来できないような場合です。

②亡くなった方が自宅を所有しているが一定の要件のもと
老人ホームなどの施設に入居しており、終身利用権を取得している場合

一定の要件とは以下の場合です。

  • 要介護認定または要支援認定を受けていて老人ホームなどに入居している
  • 障害支援区分の認定を受けていて障害者支援施設に入居している

自宅の土地が約73坪(240㎡)を超える場合は軽減が拡大

特定居住用宅地等の限度面積が約73坪(240㎡)から100坪(330㎡)に拡大されます。

例.自宅の土地が約121坪(400㎡)で評価額が8,000万円(1㎡当たり20万円)の場合
特例適用後の土地の評価額は、、、

改正前:4,160万円
    8,000万円-(20万円×240㎡×80%)
改正後:2,720万円
    8,000万円-(20万円×330㎡×80%)

となり、
課税財産が1,440万円減額になります。

自宅と事業用の土地の両方を所有している場合も軽減が拡大

特定居住用宅地等と特定事業用宅地等を所有している場合、その限度面積の合計が約121坪(400㎡)から最大で約211坪(730㎡)に拡大されます。


例.以下の場合
 自宅の土地 … 約121坪(400㎡)で評価額が8,000万円(1㎡当たり20万円)
 事業用の土地 … 約121坪(400㎡)で評価額が1億2,000万円(1㎡当たり30万円)

特例適用後の土地の評価額の合計は、、、

改正前:1億400万円(下記の①+②)
    ①自宅の土地 … 8,000万円
     減額なし
    ②事業用の土地 … 2,400万円
     1億2,000万円-(30万円×400㎡×80%)

改正後:5,120万円(下記の①+②)
    ①自宅の土地 …2,720万円
     8,000万円-(20万円×330㎡×80%)万円
    ②事業用の土地 … 2,400万円
     1億2,000万円-(30万円×400㎡×80%)

となり、
課税財産が5,280万円減額になります。
なお、賃貸アパートや貸駐車場などの敷地を所有している場合も軽減が多少拡大します。




未成年者や障害者への軽減が拡大☆

相続人が未成年者の場合は軽減が拡大

20歳までの1年につき控除できる税額が6万円から10万円に拡大されます。

例.相続人が15歳の場合
相続税の控除額は

改正前:30万円
    (20歳-15歳)×6万円
改正後:50万円
    (20歳-15歳)×10万円

となり、20万円の減税になります。

相続人が障害者の場合は軽減が拡大

85歳までの1年につき控除できる税額が6万円から10万円に拡大されます。

なお、特別障害者の要件を満たす場合は、12万円から20万円に拡大されます。
例.相続人が45歳の障害者の場合
相続税の控除額は

改正前:240万円
    (85歳-45歳)×6万円
改正後:400万円
    (85歳-45歳)×10万円

となり、160万円の減税になります。




配偶者には特別な軽減があります☆

配偶者控除

配偶者が相続した財産のうち、一定の額までは相続税がかかりません。

一定の額とは、次の2つのうち大きい方の額になります。

 ①配偶者の法定相続分の額
 ②1億6,000万円

例1.相続財産が1億5,000万円で法定相続人が配偶者と子2人の場合
配偶者の法定相続分は1/2で7,500万円(<1億6,000万円)となり、
配偶者が相続した財産のうち、1億6,000万円までは相続税がかかりません。
なお、配偶者が全て相続してしまえば相続税がかかりません。

例2.相続財産が5億円で法定相続人が配偶者と子1人の場合
配偶者の法定相続分は1/2で2億5,000万円(>1億6,000万円)となり、
配偶者が相続した財産のうち、2億5,000万円までは相続税がかかりません。

例3.相続財産が10億円で法定相続人が配偶者のみの場合
配偶者の法定相続分は1/1(全部)で10億円(>1億6,000万円)となり、
配偶者が相続した財産の全てについて相続税がかかりません。

なお、配偶者控除は申告しないと適用を受けることができません。配偶者控除の結果、相続税がかからないとしても申告が必要ですのでご注意ください。

配偶者がたくさん相続した方が得!?

では、配偶者控除があるからといって、とりあえず配偶者がたくさん相続した場合どうなるでしょうか。

もちろん、ひとまずは相続税を軽減することができます。
ただし、その次に配偶者が亡くなったときには相続財産が多くなるため、相続税も多額となります。
そのため、次に起こるであろう相続も考慮に入れて遺産分割を進めることが重要です。




他にも様々な控除等が、、、

以上、平成27年の相続税改正を中心にご紹介してきましたが、相続税の計算における一部に過ぎません。

相続対策

相続税の計算は複雑で、その対策も状況によって様々です。また、実際に起こってしまってからでは対策にも限りがあるため、万が一に備え、生前に準備をすることが大切です。

しかしながら、相続対策をするには法的に難しい内容がとても多いので、税理士等の専門家と一緒に考え準備を進めることが一番スムーズな方法です。

当事務所は30年以上もの間、複雑な土地評価をはじめ様々な相続の事例を扱ってきました。ご相談は無料です。お気軽にお問合せ下さい。