夫に先立たれた配偶者Aさん。ご夫婦に子供はおらず、また夫のご両親も既に他界されていたため、相続人は配偶者Aさんと夫の兄Bさんの2人だろうと思われていました。
しかし、実は夫の父には前妻との間に子供がおり、夫には8名もの異母兄弟がいたのです。
さらに、異母兄弟のほとんどが既に他界されていたため、相続権はその子供達にうつり(代襲相続)、最終的な相続人は配偶者Aさんと夫の兄Bさんを含め15人となりました。
POINT
●異母兄弟にも相続権がある。
●異母兄弟が他界されていた場合、その権利は異母兄弟の相続人へうつる。
たとえ異母兄弟であっても相続権がありますので、相続人全員で誰がどの財産を取得するかを決める(遺産分割協議)必要がありますが、他県にお住まいの方も多く、全員が集まるのは現実的に無理でした。
もしも全員が集まれたとしても、相続人が多ければ多いほど意見がまとまりにくく、場合によっては揉めて弁護士に依頼をする・・・ということも珍しくありません。その場合、多額の弁護士費用に加え、遺産分割が長期化してしまいます。
また、配偶者Aさんは夫の兄Bさんとは面識があったものの、その他の異母兄弟やその子供達とは面識がないため、財産を知られたくない、またできるだけ自分の老後資金に充てたいというお気持ちもありました。
POINT
● 相続人が多いと遺産分割協議がまとまらない。
● 面識のない異母兄弟やその子供達にできるだけ財産を知られたくない。
● 遺産分割の長期化や多額の弁護士報酬を避けるため、揉めないように進める必要がある。
相続人の数が多い場合、遺産分割協議を行う人数をいかに少なくするかがポイントとなります。
その為、各相続人へは当事務所から今回の経緯を丁寧にご説明し、ご納得いただいた上で各相続人が持っている権利を配偶者Aさんに譲渡する「相続分の譲渡 ⁽¹⁾」を活用。
その結果、遺産分割協議は配偶者Aさんと夫の兄Bさんの2人で行う事となり、財産を知られることや、揉めることもなく相続することができました。
※(1)相続分の譲渡… 自分の法定相続分を他の相続人に譲り渡すこと