平成27年度税制改正法が成立しました!!
平成27年3月31日に平成27年度税制改正法案が成立しました。
平成27年度の税制改正の主なポイントは、以下の3つです。
所得が多い中小企業は減税になります
法人税の基本税率が引き下げられ、中小企業に対する軽減の特例措置が2年延長されます。中小企業にとっては、年800万円超の所得部分についてのみ税率が引き下げられることとなります。
(中小企業の法人税率)
※ 中小企業とは、資本金1億円以下である普通法人のことを指します。
(中小企業の法人実効税率)
※ 法人実効税率とは、法人税や法人住民税等を含めた所得に対する実質的な税負担率のことを指します。
商業・サービス業・農林水産業活性化税制
一定の設備投資をした場合に、税金が控除される制度です。
詳細はこちら(商業等活性化税制のページをみる)
平成29年3月31日まで
平成29年3月31日までに取得し事業に使用した設備が対象となります。
対象の一部見直し
対象者・対象設備について、縮減されます。
研究開発税制
一定の試験研究を行った場合に、税金が控除される制度です。
税額控除の上限が引下げ
総額型の税額控除率の上限について、法人税額の30%から25%へ引き下げられます。
特別試験研究費について控除が増加
特別試験研究費における控除率が12%から20%または30%に引上げられます。
また、特別試験研究費に対する税額控除について総額型と別枠で5%まで控除可能になります。
所得拡大促進税制
従業員の給与等の支給額を増加させた場合に、税金が控除される制度です。
※ 従業員の給与等に役員報酬は含まれません。
平成24年度と比較して3%以上増加でOKに
平成28年4月1日以後に開始する適用年度について、基準年度(平成24年度)と比較して増加率の要件が5%以上から3%以上に引き下げられます。
受取配当等の益金不算入制度
法人から配当金を受けた場合に、税金が控除される制度です。
平成27年4月1日から
平成27年4月1日以後開始する事業年度が対象となります。
所得から控除される割合が減少
一部の配当金については控除額が増加する場合も
株式保有割合が3分の1以下の配当金については、負債利子控除の対象から除外されるので、控除額が増加する場合もあります。
株式投資信託の分配金については控除がなくなります
株式投資信託の分配金 → 控除がなくなります
特定株式投資信託の分配金 → 控除割合が縮減
欠損金の繰越期間が10年になります
平成29年4月1日以後開始する事業年度に発生した欠損金額の繰越期間が9年から10年に延長されます。これに伴い、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存期間なども10年に延長されます。
消費税率10%は平成29年4月1日から
改正前 : 平成27年10月1日から
改正後 : 平成29年4月1日から
もう延期はありません
平成29年4月1日からの10%引上げは確実に実施されます。
景気判断条項は付されません。
事業承継税制
自社の株式を後継者に贈与した場合に、贈与税の納税猶予を受けられる制度です。
これまでは3代目に贈与する場合に問題が、、、
これまでは、1代目が存命中に当該納税猶予を受けている2代目が3代目に株式を贈与した場合に、猶予されていた贈与税の納税義務が2代目に生じてしまいました。
改正により、猶予されていた贈与税の納税義務が免除されます。
ただし、3代目が当該納税猶予制度を利用して再贈与を受ける必要があります。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
父母や祖父母などから教育資金の贈与を受けた場合に、贈与税がかからなくなる制度です。
平成31年3月31日まで延長
平成31年3月31日までに行った贈与が対象となります。
通学定期代や留学渡航費もOKに
教育資金の範囲が拡充されます。
手続きが簡単になります
平成28年1月1日以後に提出する書類については、一定の支払いに限り領収書等の代わりに明細を記載した書類での提出が可能になります。
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
子や孫へ将来使用する結婚・子育て資金を事前に一括で贈与しても、子・孫ごとに1,000万円までは贈与時に贈与税がかからないという制度です。
①20歳以上50歳未満の人が直系尊属(祖父母など)から受ける贈与が対象です。
②お金の使い道は結婚・子育て資金(その範囲は後述を参照)に限られます 。
平成27年4月1日から開始
平成27年4月1日から平成31年3月31日に行った贈与が対象
金融機関を通じて利用
当該制度を利用するには、金融機関にて申込を行います。税務署への手続きは、金融機関が代行してくれます。
結婚・子育て資金の範囲に注意
制度の対象となる資金には2種類あり、それぞれ要件や限度額があります。
※ 対象費用については、詳しい情報がわかり次第、随時掲載いたします。
贈与税がかかる場合も
贈与された子や孫が50歳になるまでに使い切れなかった金額については、その年の贈与とみなされ贈与税がかかる場合があります。
教育資金の一括贈与とは異なり、相続税がかかる場合も
贈与した祖父母等が死亡した場合、使い切れなかった金額については、相続または遺贈により取得したものとみなされ相続財産に加算されます。
ただし、相続税額の2割加算の対象にはなりません。
贈与を受けた子や孫が死亡した場合
使い切れなかった金額については、贈与税はかかりません。
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等
父母や祖父母などから住宅購入資金などの贈与を受けた場合に、贈与税がかからなくなる制度です。
平成31年6月30日まで延長
平成31年6月30日までに契約した住宅などが対象となります。
最大3,000万円まで非課税に!!
消費税率10%の時期には、大幅に非課税限度額が増加します。
契約した時期が重要です
限度額の判定方法が、贈与を受けた時期から契約した時期に変わります。
例えば、平成28年9月に契約して、平成29年2月に贈与を受けた場合は注意が必要です。
住宅借入金等特別控除
住宅ローンなどを利用してマイホームなどを取得した場合に税金が控除される制度です。
平成31年6月30日まで延長
平成31年6月30日までに取得したマイホームなどが対象となります。
NISA(少額投資非課税制度)
NISA口座における配当や譲渡益などには税金がかからないという制度です。
年間120万円の投資枠について税金がかかりません
平成28年分以後について非課税枠の上限が年間100万円から年間120万円(累積600万円)に引上げられます。
ジュニアNISA(未成年者を対象にした少額投資非課税制度)
父母、祖父母が子や孫(未成年者)のためにNISA口座を開設することができる制度です。
平成28年4月1日から開始
平成28年4月1日から平成35年12月31日までに行った投資が対象です。
なお、口座開設の申し込みは平成28年1月1日以後となります。
投資枠は年間80万円まで
NISAと異なり、投資上限額は年間80万円(累積400万円)までとなります。
また、非課税期間はNISAと同じく5年間です。
投資資金を贈与する!?
(ジュニアNISAのイメージ)
贈与税がかかることも
父母・祖父母が提供した投資資金は贈与税の対象となりますので、他に贈与がある場合は注意が必要です。
ふるさと納税(寄付金控除)
自治体に寄附をすると税金が控除される制度です。
控除限度額が2倍に!!
平成27年以後平成27年以後に行った寄附から、個人住民税における特別控除額の控除限度額が、個人住民税所得割の1割から2割に引上げられます。
※ 個人住民税が控除されるのは平成28年度分以後になります。
サラリーマンは申告不要に!!
確定申告不要なサラリーマンが平成27年4月1日以後に寄附をする場合に、寄附先の自治体に申請を行うことで、確定申告が不要になります。
ただし、以下のいずれかの場合は確定申告が必要になります。
・寄附先の自治体が6団体以上となる場合
※ 6回ではないので同じ自治体に複数回寄付するのはOK
・平成27年1月1日から平成27年3月31日の間に寄附をしている場合
エコカー減税・グリーン化特例
一定の基準を満たした車などについて、税金が軽減される制度です。
エコカー減税 → 自動車取得税、自動車重量税(初回の車検時のみ)
グリーン化特例 → 自動車税、軽自動車税(いずれも初年度のみ)
適用期間にご注意ください
以下の年月日までに取得した車などが対象となります。
エコカー減税 → 平成29年3月31日
グリーン化特例 → 平成28年3月31日
対象車の基準が厳しくなります
対象車の燃費基準とその軽減率が縮減されます。
軽自動車税も軽減の対象に追加されました
今回の改正で軽自動車についてもグリーン化特例の対象になりました。
二輪車に係る軽自動車税の引き上げ時期の延期
二輪車に係る軽自動車税の引き上げが平成27年4月1日から平成28年4月1日に延期されました。なお、二輪車以外に係る軽自動車税は予定通り平成27年4月1日から引き上げられます。