平成28年度税制改正法が決定しました!!
平成28年3月31日に平成28年度税制改正法案が成立しました。
中小企業にかかわる部分を中心に主な改定内容をご紹介します。
当ページの内容は、平成28年4月1日時点の法律に基づいており、将来変更される可能性もありますのでご注意ください。
所得が多い中小企業は減税になります
法人税の基本税率が引き下げられ、法人事業税所得割も引き下げられます。
中小企業にとっては、年800万円超の所得部分については税率が引き下げられますが、年400万円以下の所得部分については税率が引き上げられます。
(中小企業の法人税率)
※ 中小企業とは、資本金1億円以下である普通法人のことを指します。
(中小企業の法人実効税率)
※ 法人実効税率とは、法人税や法人住民税等を含めた所得に対する実質的な税負担率のことを指します。
建物付属設備、構築物は定額法のみに限定
これまで定率法も選択できましたが、定額法のみに一本化されました。
平成28年4月1日から
平成28年4月1日までに取得した資産が対象となります。
取得当初は増税に
定率法から定額法となることで、耐用年数前半の減価償却費が減少します。
(取得価格 100万円、耐用年数 5年の場合の減価償却費の推移)
法人が一定の寄付金を支出した場合に、通常の損金算入措置に加えて、
税額控除が出来る制度です。
平成28年4月20日から平成32年3月31日まで
平成28年4月20から平成32年3月31日までの寄付が対象となります。
最大で寄付金額の6割が控除できます。
従前の軽減負担 : 寄付金額の3割
新たな税金控除 : 寄付金額の3割(法人事業税等の20%が限界)
寄付の対象が限定されているので注意
対象となる寄付金は、地方自治体が国の認定を受けたものに限ります。
欠損金の繰越期間が10年になります。(適用時期の延期)
平成30年4月1日以後開始する事業年度に発生した欠損金額の繰越期間が
9年から10年に延長されます。
これに伴い、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存期間なども10年に
延長されます。
※改定前は平成29年4月1日以後開始する事業年度から適用でした。
消費税率10%は平成31年10月1日から
平成28年6月に正式発表がなされました。
今後、実施のための法改正が進められると見込まれます。
どんな制度?
中小企業者等が一定の機械装置を新たに取得した際に、当該機械装置に係る
固定資産税が3年間、50%軽減されます。
平成31年3月31日まで
平成31年3月31日までに取得した機械装置が対象となります。
対象となる機械装置とは?
次のいずれにも該当する必要があります。
・販売開始から10年以内
・旧モデルと比べ、生産性が年平均1%以上向上するもの
・1台の取得価格が160万円以上のもの
計画の認定を受ける必要があります。
生産性向上計画を策定し、認定を受ける必要があります。
どんな制度?
被相続人が住んでいた土地建物を相続した際に、相続人がそれらを譲渡した
ときの税金が軽減される制度です。
平成31年12月31日まで
平成28年4月1日から平成31年12月31日までに行った譲渡が対象となります。
譲渡益から3,000万円が控除されます。
売った金額から買った金額等を差引いた譲渡益がでた場合、3,000万円まで控除
することができます。
例)長期譲渡に該当し、譲渡益が4,000万円の場合、約609万円の減税になります。
いろいろな要件があるので注意が必要です
主なものとして下記の様な要件があります。
・相続開始日(被相続人がなくなった日)直前まで、被相続人が1人で住んでいた土地建物
・昭和56年5月31日以前に建築された一定の建物であること
・被相続人が亡くなってから譲渡するまで空き家であること
(地方公共団体から証明するための書類を発行してもらう必要があります)
・譲渡金額が1億円以下であること
・相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
例)相続開始日が平成27年10月1日の場合 → 平成30年12月31日まで
相続税を多く払っている場合はほかの特例が有利な場合も
この特例は、相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算)と重複して
適用をうけることはできません。
相続税を3,000万円以上支払っている場合は、取得費加算を選択した方が有利と
なる場合がありますので注意が必要です。
どんな制度?
三世代同居に対応した住宅リフォーム工事を行う場合に、所得税が控除
される制度です。
平成31年6月30日まで
平成28年4月1日から平成31年6月30日までに居住開始した場合が対象
住宅ローン控除と所得税額控除のいずれか選択
・金融機関などから借入をしてリフォームした場合
控除期間 : 5年間
控除税額 : 年末借入残高(最大250万円)×2%
・自己資金などでリフォームした場合
控除期間 : 居住開始した年のみ
控除税額 : 標準的な工事費用相当額(最大250万円)×10%
※標準的な工事費用相当額とは、一定の計算に基づく金額で、実際に支払った
金額とは異なりますので、注意が必要です。
証明書が必要です
一定の期間が発行した三世代同居に対応した住宅リフォーム工事を行った
ことを証明する書類が必要となります。
どんな制度?
給与に加算して支給する通勤手当について、一定の限度額まで所得税が
かからない制度です。
限度額が10万円から15万円に引き上げ
交通機関を利用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券につ
いて、課税されない最高限度額が15万円(従前10万円)になりました。
軽減が延長されるもの
・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例の2年延長
(ただし、常時使用する従業員数が1,000人を超える法人は除外)
増税になるもの
・生産性向上設備投資促進税制は平成29年3月31日までの取得分で終了です。
その他
・国税はクレジットカードで納付可能に
・マイナンバーの記載省略措置
・加算税制度の見直し
・国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し